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チョコレート・ココア健康講座

Q1

チョコレート・ココアは健康によいと聞きますが、本当ですか?

A
チョコレートやココアは、これまでの長い歴史の中で、嗜好品だけでなく、栄養の面からもユニークな食品として、疲労回復やエネルギー源として用いられてきました。
近年ではチョコレート・ココアに含まれる、ポリフェノールなどの健康効果が注目を集めており、チョコレート・ココアの摂取と病気との関連性を調査する“疫学研究”という分野の研究が、世界中で活発に行われるようになりました。その中で、チョコレート・ココアの摂取が高血圧の予防に有効であることが示されるなど、様々な健康効果を持つことが分かってきています。

チョコレート・ココアの歴史は古く、古代マヤ・アステカの時代から疲労回復やすぐれたエネルギー源、さらには万能薬として使われてきました。こうした医薬や儀式用途の文化的歴史は、Dillinger(2000)[1]が、チョコレート・ココアの歴史と文化については、Coeら(1996)[2]により報告・出版されており、Lippi(2013)[3]は、チョコレートを「栄養機能と健康維持に役立つ能力」から「Medi-food」と呼称しています。
チョコレートの原料であるカカオ豆にはポリフェノールが豊富に含まれています。
1990年代にフランス人の飽和脂肪酸の摂取量が多いのに心臓疾患の罹患率が低いことから、赤ワインが心臓疾患の予防に有効であることを推定した“フレンチパラドックス”が話題になり、それ以降、カカオのポリフェノールの研究が急速に活発化しました。近年、チョコレート・ココアの健康機能に関して多くの疫学研究が発表されており、研究者に大きなインパクトを与えました。疫学研究(epidemiologic study)とは、人間を対象として、健康に関する事象(病気の罹患率など)を調査し、その要因を明らかにする医学研究のことです。
この項では疫学研究の結果を紹介し、チョコレート・ココアの健康への貢献について解説します。また、Q10.において、臨床試験の結果について詳しく紹介します。
非常に有名な研究の一つに、Hollenbergら(2006)[4]、(2009)[5]によるパナマ共和国の先住民であるクナ族を対象としたものがあります。この研究では、カリブ海沖の群島に住むクナ族とパナマなどの都市部に移住したクナ族の疾病の罹患率を比較しています。その研究では、群島に住むクナ族では高血圧や心臓疾患の罹患率が極めて低く、その理由が群島におけるココア飲用習慣にあると考察されています。彼らはフラバノール(Q3.参照)を多く含むココア飲料を高頻度で飲用する習慣があり、このフラバノールが様々な健康効果を発揮している可能性を述べています。
また、オランダではBuijsseら(2006)[6]により、高齢男性470名についての調査がなされています。“The Zutphen Elderly Study”と名付けられたこの研究ではカカオを含有する食品の血圧及び血管疾病に由来する死亡率への影響が調査されています。5年ごとに食事摂取履歴調査をして、低・中・高カカオ摂取区に分け、調査した結果、カカオの摂取量が増えるに従い血圧が大きく低下し、また、15年間の心血管および全原因死亡率とカカオの摂取量が反比例すると結論付けられています。
日本人研究者による研究も行われています。Matsumotoら(2014)[7]の研究では、米国の成人男性約18,000名を対象に、平均で約9年間以上の長期にわたり追跡調査をおこなった大規模疫学調査をもととして、チョコレートの日常摂取と長期的な糖尿病、心血管疾患の罹患率およびその死亡率との関連について調査が行われました。その結果、調査開始時の年齢が65歳未満の非高齢者および非肥満者(BMI < 25)において、摂取エネルギーを始めとした各種生活環境因子について是正した後のチョコレート摂取と糖尿病発症との間では負の相関を呈し、チョコレートを多く摂取した群では非チョコレート摂取群と比較して糖尿病の発症が低いという事実が確認されました。上記に挙げた研究以外にも、多くの疫学研究[8-18]があり、A. Buitrago-Lopezらも(2011)[19]「チョコレートの摂取と心血管代謝疾患」についての疫学研究に関するシステマティックレビュー*1)とメタアナリシス*2)が報告されています。2017年にはJPHC(多目的コホート研究からの成果報告として、チョコレート摂取と脳卒中発症リスクとの関連がJ. Dongら[20]により報告され、日本人で44〜76歳の男女約8.5万人について10〜15年追跡調査した結果、女性では週に37.5 g以上摂取している人は、脳卒中のリスクが有意に低下していることが分かりました。
認知機能に関する疫学研究について、Nurkら(2009)[21]は、70〜74歳の男女2,031名を対象に、フラボノイドを含む食品(チョコレート、ワイン、お茶)の摂取と認知機能の関係を調査したところ、チョコレート、ワイン、お茶を摂取していた人は、摂取していなかった人よりも認知機能テストの成績が良く、認知機能の低い人の割合が小さいことが分かりました。またチョコレートとワインは摂取量依存的に、認知機能が高まり、チョコレートは10 g/日、ワインは100 mL/日の摂取量で認知機能が最も高くなることが明らかになりました。A. Moreiraら(2016)[22]は、チョコレートの消費が認知機能低下のより低いリスクと関連するという彼らの研究について、通常の長期にわたるチョコレート消費と人間の認知機能低下との間の逆の相関を示す初めてのコホート研究であると述べています。
現在もチョコレート・ココアの健康機能の研究は活発になされており、今後もチョコレート・ココアによる様々な健康機能が明らかになることが期待されます。

チョコレート・ココア国際栄養シンポジウムでの関連発表

引用文献

[1] TL. Dillinger et al. J Nutr. 2000, 130: 2057S-2072S

Food of the Gods: Cure for Humanity? A Cultural History of the Medicinal and Ritual Use of Chocolate.

[2] S. D. Coe and M. D. Coe. The True History of Chocolate

1996 by Thames and Hudson Ltd, London(翻訳書:樋口幸子 河出書房新社)

[3] D. Lippi. Nutrients. 2013, 5:1 573-1584

Chocolate in History: Food, Medicine, Medi-Food

[4] ML. McCullough et al. J Cardiovasc Pharmacol. 2006, 47(Supply) 2: S103-9

Hypertension, the Kuna, and the epidemiology of flavanols.

[5] NK. Hollenberg et al. J Am Soc Hypertens. 2009, 3(2): 105-112

Flavanols, the Kuna, cocoa consumption, and nitric oxide.

[6] B. Buijsse et al. Arch Intern Med. 2006, 166(4): 411-417

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[21] E. Nurk et al. J Nutr. 2009, 139(1): 120-127

Intake of Flavonoid-Rich Wine, Tea, and Chocolate by Elderly Men and Women Is Associated with Better Cognitive Test Performance

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Chocolate Consumption is Associated with a Lower Risk of Cognitive Decline

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