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チョコレート・ココア健康講座

Q15

チョコレートを食べると「むし歯」になりますか?

A
第2次世界大戦後、スウェーデンで行われたヒト試験で、間食にチョコレートを与えた場合、キャンディーやトフィーと比較してむし歯(う蝕)の発生が少なかったことが報告されています。そこからチョコレート・ココアにはむし歯菌を抑制する効果を示す成分が含まれていることが予測され、原料であるカカオの成分のむし歯の原因菌の増殖に対する作用や、マウス動物試験でむし歯の発生を抑制する効果が研究されてきました。近年になり、むし歯と並ぶ口腔内の2大感染症疾患の1つである歯周病の主な原因である、歯周病原菌に対して殺菌効果のある成分が、カカオに含まれていることも報告されています。
このようにチョコレートやココアにはむし歯や歯周病に罹りにくい成分が含まれていますが、食べた後には歯磨きを行いましょう。

カカオ抽出物の抗う蝕作用および抗歯周病作用について世界中で多くの研究がおこなわれています。主な報告について簡単にまとめました。
また、チョコレート・ココア協会主催のチョコレート・ココア国際栄養シンポジウムでも福島が第1回(1997)、第2回(1998)に、大嶋が第4回(1998)に講演しています。またカカオハスク中の成分にも、抗う蝕作用があることが示唆されており、大嶋が第5回(1999)、第6回(2000)のシンポジウムで講演しています。抗歯周病作用については、前田が第10回(2005)、大島が第14回(2009)そして友藤が第15回(2010)で講演しています。

GF. Ferrazzano(2009)[1]
抗菌活性を持つココアやコーヒー、お茶のポリフェノールは、う蝕の予防に関連があると考えられる。ココア由来ポリフェノールの五量体はS.mutansおよびS.sobrinusの形成するバイオフィルムを有意に減少させる。同じようにコーヒーの生豆と焙煎豆に含まれるトリゴネリン、カフェイン、クロロゲン酸は唾液被覆したハイドロキシアパタイトビーズへのS. mutansの付着を抑制する。緑茶、ウーロン茶や紅茶についても、そのポリフェノールが抗菌活性により抗う蝕効果を発揮し、ガロイル基を持つエステルであるエピカテキン、エピガロカテキン、ガロカテキンは抗菌活性を示した。
T. Tomofuji(2009)[2]
2種類の歯周炎モデルラットに、通常餌またはココア高含有(10 %)餌を4週間与え、飼育した(各群n = 8)。通常餌群では、血清中の活性酸素レベルが時間とともに上昇した。これらのラットは歯槽骨の吸収(喪失)が起こり、多形核白血球の浸潤している歯肉組織における8‐ヒドロキシデオキシグアノシンレベルが上昇し、還元型/酸化型のグルタチオン比は減少した。ココア高含有(10 %)餌群のラットも歯周炎を誘発されたものの、血清中の活性酸素レベルおよび歯肉でのレベルには機能的な損傷はなかった。
C. Hirao(2010)[3]
P. gingivalis, F. nucleatum, P. intermediaに代表される歯周病原菌に対するココアの抗菌効果を評価した。さらに口腔内のStreptococcus属細菌に対する活性も評価した。ココアを1.0 %または3.0 %(w/w)の濃度で抗菌試験(CFU評価:コロニー形成数の比較)をすると、濃度依存的、時間依存的に有意に歯周病原菌に対して抑制効果を認めた。しかし、Streptococcus属細菌に対しては効果がなかった。ココアをメタノールやエタノールで抽出した画分について抗菌性を評価したところ、ポリフェノールを含む画分に抗菌性は見られた。これらの画分の抗菌性効果はポリビニルポリピロリドン処理により消失した。これらの結果より、ココアは歯周病原菌に対して抗菌効果を有し、その活性本体はポリフェノールによるものと考えられた。
A. Sadeghpour(2007)[4]
テオブロミンの歯表面からの酸脱灰への効果について、人工ニューラルネットワークモデルによるエナメル表面微小硬度データの分析を行った。in vivoでの酸溶解性実験から、テオブロミンがヒトの歯のエナメル質表面で細菌によっておこる酸脱灰の抵抗性を助けるのに特に有効な成分であると考えられた。チョコレート、紅茶、ココア製品に含まれるテオブロミンは天然物質で、無毒であり、市販の歯磨剤中のフッ化物添加物の実用的な代替物であると考えられる。
B.Kargul(2012)[5]
ヒト第三大臼歯から作成したエナメル質を、酸性ヒドロキシメチルセルロース中に3日間保存することで脱灰を生じさせ、ベースラインの微小硬度測定後、それらを100 mg/Lまたは200 mg/Lのテオブロミン溶液中に5分間保存した。対照群は蒸留水で同様の処理を行った。試験片を蒸留水で洗浄した後、それらを再石灰化溶液中に18時間保存し、SEM分析を行った。対照群のエナメル質表面は、概して滑らかでわずかに塊状の表面を示し、くぼみのある小さな線が見られた。200 mg/Lのテオブロミン溶液で5分間処理した群は、100 mg/Lの溶液で処理した試験片よりも、エナメル質上の小球の量が多かった。この結果から、エナメル質表面はテオブロミン処理により顕著に保護されることがわかった。
Arthilakshmi(2016)[6]
テオブロミンはstreptcoccus mutans,lactobacillus acidophilus and enterococcus faecalisに対して、高い抗菌効果を示し、安全で、毒性がなくより効果的であるから、将来、テオブロミンは歯磨きに含まれるフッ化物に置き換われる。
K. Osawa(2001)[7]
カカオハスクは抗う蝕効果として、グルコシルトランスフェラーゼ(GTF)の活性抑制と抗菌活性を示している。さらにミュータンス連鎖球菌を感染させたラットの試験では、高分子のポリフェノール様物質と不飽和脂肪酸が抗う蝕活性成分として見出された。ポリフェノール様物質は強いGTF阻害活性を示し、分子量4636と見積もられた。不飽和脂肪酸(オレイン酸とリノレン酸)は、Streptococcus mutans (S. mutans) に対してMICが30 μg/mLと高い抗菌活性を有していた。
A. Sudhaarsana(2015)[8]
カカオハスク抽出物は特定の抗う蝕原性物質を含有すると言われている。カカオハスクは抗グリコシルトランスフェラーゼ(GTF)活性や抗菌活性を有することが示されている。カカオハスク中の成分は、歯の表面への細菌接着に対して作用し、微生物の増殖を抑制する。

チョコレート・ココア国際栄養シンポジウムでの関連発表

引用文献

[1] GF. Ferrazzano et al. Fitoterapia. 2009, 80: 255-262

Anti-cariogenic effects of polyphenols from plant stimulant beverages (cocoa, coffee, tea)

[2] T. Tomofuji et al. J Periodontol. 2009, Nov. 80(11): 1799-808.

Preventive effects of a cocoa-enriched diet on gingival oxidative stress in experimental periodontitis.

[3] C. Hirao et al. J Oral Biosci. 2010, 52(3): 283-291

Antibacterial Effects of Cocoa on Periodontal Pathogenic Bacteria

[4] A. Sadeghpour Dissertation Abstracts International. 2007, 68(7): suppl. B, 150p

A neural network analysis of theobromine vs. fluoride on the enamel surface of human teeth

[5] B. Kargul et al. Oral Health Prev. Dent. 2012, 10(3): 275-82

Evolution of human enamel surfaces treated with theobromine: a pilot study

[6] Arthilakshmi et al. Int. J Dentistry and Oral Health. 2016, 2(5):103-107

Comparative Evaluation on Antimicrobial Activity of Theobromine and Two Commercial Kids Fluoride Toothpaste-An Invitro Study

[7] K. Osawa et al. J Dental Research. 2001, 80(11): 2000-2004

Identification of Cariostatic Substances in the Cacao Bean Husk: Their Anti-glucosyltransferase and Antibacterial Activities

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