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チョコレート・ココア健康講座

Q16

チョコレート・ココアを食べると太りますか?

A
肥満は摂取したエネルギーが運動などで消費されるエネルギーを上回ることにより生ずるのです。チョコレートが特に肥満に関係するものでなく、むしろチョコレートの脂肪は吸収されにくいのでカロリーの計算値より低いとの報告もあります。
チョコレートの成分であるカカオマスには、肥満すなわち脂肪蓄積を抑える効果が報告されていますから、チョコレートは、同量の油脂を含む他の食品に比べると太りにくいと考えられます。ダイエットのためには、運動と適度なカロリー摂取を心がけてください。

チョコレートと肥満の関係になりますと、チョコレートはカカオマス(ココアバター55 %)、砂糖、乳製品、ココアバターで造られますから、ココアバターの特徴とその特徴に由来するエネルギーと健康そしてカカオマスについて考えます。
熱帯で生育するカカオ樹から収穫されるカカオ豆に50 %強含まれている脂肪分のことをココアバターと言います。このココアバターの特徴は、脂肪酸ではパルミチン酸(C16:0)26 %、ステアリン酸(C18:0)35 %、オレイン酸(C18:1)35 %、リノール酸(C18:2)3 % から成り、パルミチン酸やステアリン酸などの飽和脂肪酸で全体の約60 %を占めます。トリアシルグリセロールの構造では1, 3位がパルミチン酸又はステアリン酸で、2位にオレイン酸が入るSUS型脂質(S:長鎖飽和脂肪酸、U:不飽和脂肪酸)が80〜85 %を占めています。

古くから、ココアバターは他の油脂に比較して消化吸収率の低さが知られており、この要因として、融点の高い長鎖飽和脂肪酸(C16以上)を多く含んでいるだけでなく、特徴的なSUS構造がココアバターの低吸収性に影響を及ぼしていると考えられてきました。そして、脂肪のエネルギー値が現状の一律9 kcalということは必ずしも妥当でないことから、より適正なエネルギー換算値の設定が必要ではないかと言うことで、検討され、1999年に、上に述べたココアバターの構造がココアバターの吸収性に影響し、かつ、カルシウムやマグネシウムが共存すると遊離の長鎖飽和脂肪酸が不溶化して吸収が低下することから、ココアバターのエネルギー値は7.0 kcal、カルシウム共存時で6.1 kcalであると提案[1][2]されましたが、糖類と異なり、脂質の場合は種類が膨大で、個々の脂質ごとのエネルギー値を認めるわけにはいかないというのが当局の見解でした。一方で、Y. Shahkhaliliは2000年、ココアバターはコーン油の消化率と同様、高い消化率をもっており、低カロリー脂とは考えられないとの報告[3]しましたが、翌年、チョコレートへのCa捕捉はチョコレートの吸収されるエネルギー価を減らす方法として使うことが出来る。そして、2.25 %CaCO3の捕捉は、味に影響しないし、短期の研究ではあるがLDLコレステロールを下げたと報告[4]しました。その後日本では、上田ら(2014)[5]は、高脂肪食投与ラットによる、コントロール(大豆油)群、ラード群、カカオバター群の摂取結果から、ココアバターは吸収率が低く、体内に蓄積される量も少なかったため、高脂肪食ラード群でみられた肝臓中の総脂質、総コレステロール及びトリアシルグリセロール値の増加がココアバター群では抑制されたと考えられると報告しています。
1995年、Kritchevskyは、チョコレート・ココア国際栄養シンポジウムで、チョコレートはコレステロール値を上昇させないので、安心してたべられると報告しました。重要なことは、ココアバターは飽和脂肪酸であるにもかかわらず、通常の飽和脂肪酸のような挙動を示さないという点です。したがって危険な脂肪とみるべきでなく中立的な脂肪とみなすべきであると述べました[6]。2010年の米国農務省のDGAC(the Dietary Guidelines Advisory Committee)[7]では、ステアリン酸は他の飽和脂肪やトランス脂を含むよく知られた“コレステロールを上げる脂肪”に分類されていません。Hunter JEら(2010)[8]は、系統的レビューの中で、トランス脂の摂取は脂質やリポプロテインにおける逆効果のために、出来るだけ減らすべきである。固体脂を必要とする食品において他の飽和脂肪酸に比較して、ステアリン酸によるトランス脂の置き換えは、CVDリスクを減らすための主目標であるLDLコレステロールに有益に影響する。不飽和脂は、液体脂の利用には選ばれると述べています。又、Chowdhury Rら(2014)[9]は、食事やサプリの脂肪酸と冠動脈疾患との関連についての系統的レビューとメタアナリシスにおいて、最新のエビデンスは多価不飽和脂肪酸の高い消費と総飽和脂肪酸の低い消費を奨励する心血管ガイドラインをはっきりとは支持していないと述べています。
2000年代の初めに、日本で、糖尿病/肥満ラットやマウスによるココアやカカオマスの抗肥満効果の研究[10]が行われ、脂肪酸の合成および輸送システムを低減させ、肝臓と白色脂肪細胞の熱発生メカニズムを亢進させると報告されました。その後、プロシアニジンが血糖値の上昇を抑えることが報告[11]され、カカオマス中のプロアントシアニジン(CLPr)は正常マウスに影響を与えず、肥満モデルマウスでは、血糖値とフルクトサミン値を抑制すると報告がなされました。Dorenkott ら(2014)[12]はカカオプロシアニジンオリゴマーが肥満やインスリン抵抗性を抑えることを報告しました。重合度の異なるカカオポリフェノールの中でも、オリゴマータイプのものの効果が高いことが示唆されました。そのメカニズムについてGuら(2011)[13]は、カカオポリフェノールはin vitroで消化酵素を阻止することができることによるとしましたが、2012年のシンポジウムでの芦田の報告や、Yamashita ら(2012)、(2013)、(2014)[14]-[16]により、プロシアニジンはインスリン分泌増強作用(インクレチン様効果)とAMPKのリン酸化亢進を介して、筋肉でのGLUT4の細胞膜移行を促進させることにより、血糖上昇を抑制するとともに、熱産生やエネルギー消費を亢進させて、脂肪蓄積を抑制するとしました。その後、2014年、芦田は、カカオ豆抽出物をマウスに摂取させると脂肪の蓄積が抑制することが明らかにし、カカオ豆有効成分の探索の結果、その有効成分はテオブロミンでありカフェインはテオブロミンによる抑制効果を増強する作用をもつことが明らかになった、と述べています。上の①、②、③において、チョコレートの原料であるカカオマスに含まれるココアバターの低吸収性、コレステロールの抑制やカカオマス成分に抗肥満効果があることなどについて述べてきました。

チョコレートと肥満について、2013年、GreenbergとBuijsse[17]は、ARIC(Atherosclerosis Risk in Communities) cohortにおける疫学的分析は、習慣的なチョコレートの摂取が、Dose-Response(用量反応)パターンで、長期にわたる体重増と関連していることを見出した。チョコレートはより低い体重と関連しているという我々の横断的見解はすでに重篤な肥満関連の病気を持った患者にのみ適用されると報告しました。2015年、Bohannonら[18]は、カカオ分の高いチョコレートの消費は、体重を減らす食事の成功を大きくする。この食事の体重減少効果はある程度遅延して現れる。しかしながら、長期にわたる体重減少は、チョコレートを加えることにより、より達成しやすくなる。それゆえ、高カカオ含量のチョコレートは、体重減少のためにローカーボと一緒に使われるのであれば、理想的な“weight-loss turbo”であると述べています。2016年、Gasserら[19]は、「子供と若者の、お菓子の消費と太りすぎ、肥満そしてそれらに関連する結果」についてのシステマテックレビューとメタアナリシスで、子供や若者において、お菓子の消費と、太りすぎ、肥満そしてそれらに関連する結果との間に正の相関を示していない。お菓子は肥満の主要なけん引役ではない。それゆえ、肥満を減らすことを目的にする介入試験は、日常の食事で摂取するほかの成分に焦点をあわせるようにすることが望ましいと述べており、又、Yehら[20]は、「大学生におけるチョコレートの消費と信念そしてBMIとの関係」において、BMIと食べたチョコレートのタイプおよびBMIとチョコレート健康信念の間には全く関連は観察されなかったと述べています。2017年、Rodriguesら[21]は、ふつうの甘い飲料やチョコレートの摂取は、それぞれ、就学前の児童の肥満と関連していた。これらのことは、健康の専門家が健康的な食事を改善するために甘い食品を減らすという方針を主張するのに役立つでしょうと述べています。

肥満に関しましては、まだまだ未解明な部分がありますが、チョコレートは、そのチョコレートと同量の油脂含量を持つ他の食品に比べたら太りにくいとはいえると思います。とはいえ、脂肪を過度に摂取することがないように、チョコレート・ココアを「楽しく適度に」召し上がっていただくのが良いと考えます。

チョコレート・ココア国際栄養シンポジウムでの関連発表

  • デビッド・クリチェフスキー「カカオ脂の主要脂肪酸ステアリン酸の代謝」:第1回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(1995)
  • 木村修一「チョコレート摂取が肥満に及ぼす影響」:第2回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(1996)
  • G.H. アンダーソン「砂糖の摂取と健康」:第2回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(1996)
  • ペニー・クリス=エサートン「カカオバターのコレステロールへの影響」:第5回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(1999)
  • 宮澤陽夫「カカオ脂質の化学構造と生理作用」:第11回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(2006)
  • 荒井綜一「ココアの抗肥満効果に関するDNAマイクロアレイ解析」:第11回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(2006)
  • 上野有紀「カカオポリフェノールによる肥満に対する作用の検討」:第15回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(2010)
  • 佐藤清隆「チョコレート用油脂の物性と機能に関する研究」:第16回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(2011)
  • 芦田 均「カカオ由来プロシアニジン画分による生活習慣病予防・改善効果とそのメカニズム」:第17回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(2012)
  • 芦田 均「カカオ豆抽出物による脂肪細胞の分化と脂肪蓄積の抑制効果」:第19回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(2014)
  • 浜岡隆文「ヒト褐色脂肪組織の測定と機能性食品の評価」:第20回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(2015)

引用文献

[1] T. Aoyama et al. Nutrition Research 1995, 15(7): 1005-1018

Effect of dietary calcium on the absorption of triglycerides esterified at 1, 2 and 1,3 positions of glycerol with long chain saturated fatty acids in rats

[2] 青山敏明 他 健康栄養食品研究.1999,2(4)

低カロリー脂質のエネルギー評価に関する検討

[3] Y. Shahkalili et al. Euro J Clinical Nutrition. 2000, 54: 120-125

Digestibility of cocoa butter from chocolate in humans: a comparison with corn-oil

[4] Y. Shahkhalili et al. Am Cli Nutr. 2001, 73: 246-52

Calcium supplementation of chocolate : effect on cocoa butter digestibility and blood lipids in humans

[5] 上田亜樹 他 藤女子大学 QOL研究所紀要:The Bulletin of Studies on QOL and Well-Being, Vol.9, No.1: 53-57, Mar. 2014

高脂肪食投与ラットにおけるカカオバターの摂取が脂質代謝へ及ぼす影響

[6] D. Kritchevsky Nutrition Reviews. 1988, 46(5): 177-81

Effects of Triglyceride Structure on Lipid Metabolism

[8] JE. Hunter et al. Am J Clin Nutr. 2010, 91(1): 46-63

Cardiovascular disease risk of dietary stearic acid compared with trans, other saturated, and unsaturated fatty acids: a systematic review

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Association of dietary, circulating, and supplement fatty acids with coronary risk: a systematic review and meta-analysis.

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Ingested cocoa can prevent high-fat diet-induced obesity by regulating the expression of genes for fatty acid metabolism

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Oligomeric Cocoa Procyanidins Possess Enhanced Bioactivity Compared to Monomeric and Polymeric Cocoa Procyanidins for Preventing the Development of Obesity, Insulin Resistance, and Impaired Glucose Tolerance during High-Fat Feeding

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Inhibition of Key Digestive Enzymes by Cocoa Extracts 1 and Procyanidins

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Prevention mechanisms of glucose intolerance and obesity by cacao liquor procyanidin extract in high-fat diet-fed C57BL/6 mice.

[15] Y. Yamashita et al. Biosci Biotechnol Biochem. 2013, 77(4): 888-891

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プロシアニジンの新たな生体機能調節:プロシアニジンの肥満・高血糖予防効果

[17] JA. Greenberg and B. Buijsse PLoS ONE. 2013, 8(8): e70271

Habitual chocolate consumption may increase body weight in a dose-response manner.

[18] J. Bohannon et al. International Archives of Medicine. 2015, 8(55): 1-8

Chocolate with high cocoa content as a weight-loss accelerator

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Confectionery consumption and overweight, obesity, and related outcomes in children and adolescents : a systematic review and meta-analysis

[20] Ming-Chin Yeh et al. J Obes Weight Loss 2016, 2: 004

Chocolate Consumption and Health beliefs and its Relation to BMI College Students

[21] Machado-Rodrigues et al. Journal of Epidemiology and Global Health (2017)

Overweight risk and food habits in Portuguese pre-school children

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