チョコレート・ココア健康講座

チョコレート・ココアが私達の体にどんな効果があるのかご存知ですか?
健康管理が気になる方は必見です!
Q1
チョコレート・ココアは健康によいと聞きますが、本当ですか?
A

チョコレートやココアは、これまでの長い歴史の中で、嗜好品だけでなく、栄養の面からもユニークな食品として、疲労回復やエネルギー源として用いられてきました。
近年ではチョコレート・ココアに含まれる、ポリフェノールなどの健康効果が注目を集めており、チョコレート・ココアの摂取と病気との関連性を調査する“疫学研究”という分野の研究が、世界中で活発に行われるようになりました。その中で、チョコレート・ココアの摂取が高血圧の予防に有効であることが示されるなど、様々な健康効果を持つことが分かってきています。

Q2
チョコレート・ココアにはどのような成分が含まれていますか?
A

タンパク質、脂質、糖質、食物繊維、ミネラル類、カカオポリフェノール、テオブロミンが含まれています。

Q3
「カカオポリフェノール」はどのようなものですか?
A

カカオポリフェノールは、チョコレート・ココアの原料であるカカオ豆に含まれるポリフェノールの事です。
カカオポリフェノールは、主に、エピカテキン、カテキンとプロシアニジン(エピカテキンやカテキンがいくつか結合した化合物)からなります。簡単に言いますと、エピカテキンをメインとするいくつかの化合物の混合物です。これらはフラバノール(フラバン-3-オール)とも呼ばれます。

Q4
チョコレート・ココアは1日にどれくらい食べると健康によいですか?
A

チョコレート・ココアは嗜好品であり、医師が処方する薬ではありませんから、何グラム摂れば健康に良いという対象ではありません。
生活習慣病の改善などの健康効果に関する報告から、1日に少なくとも5~10 g程度のビターチョコレート(1~2片程度)又はココア一杯(純ココアで5~10 g程度)を毎日続けることが良いと考えられています。

Q5
チョコレート・ココアはいつ食べるとよいですか?
A

ポリフェノールは早く吸収されるため、その抗酸化作用は比較的早く発揮されますが、長時間持続することができないので、一度にたくさん食べてしまわないで、少しずつ食べることをおすすめします。
チョコレートをエネルギー補給として食べるのであれば、間食時が良いですし、ココアの血流改善効果を期待するのであれば、朝の1杯やスポーツをする前などに飲むことをおすすめします。

Q6
「カカオポリフェノール」は1日にどれくらい摂れば、健康によいのですか?
A

カカオポリフェノールに生活習慣病の改善などの健康効果があることは認められていますが、健常人のカカオポリフェノール摂取量の推奨量は決めかねます。しかし、最近になって600 mg程度のカカオポリフェノール(日本の公定法)を摂取した試験で血圧に良い結果が出たとの報告があります(大澤俊彦 第20回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム2015年)。これまでの知見を参考にしてください。

Q7
「カカオポリフェノール」をたくさん摂るにはどんなチョコレート・ココアを選べばよいですか?
A

チョコレートでは、「カカオ分○○ %」と表示しているハイカカオチョコレートやビター(ダーク)チョコレートがお薦めです。カカオ分が多いほどカカオポリフェノールを多く含んでいます。又、ココアでは、純ココアがカカオポリフェノールを多く含んでいます。

Q8
チョコレート・ココアは1日にどれくらい食べてもよいのですか?
A

厚生労働省・農林水産省による「食事バランスガイド」では、「菓子・嗜好食品は一日に200 kcalを目安とする」とあります。これは1日に食べるいろいろな菓子・嗜好品の総カロリーです。板チョコレートですと約35 gが200 kcalに相当しますが、その日の食事や体格や年齢によっても変わるものですから、あくまでも目安です。

Q9
ホワイトチョコレートにも「カカオポリフェノール」は含まれていますか?
A

ホワイトチョコレートにはカカオポリフェノールはほとんど含まれていません。

Q10
チョコレート・ココアの研究が日本をはじめ世界中で進んでいると聞きますが、これまでにどんなことがわかっていますか?
A

カカオポリフェノールの抗酸化作用による心臓病のリスク低減・動脈硬化の抑制作用や肥満すなわち脂肪蓄積を抑える効果といった生活習慣病の予防効果、脳機能の改善効果などが研究成果として報告されています。また、抗菌、ストレス抑制、冷え症改善、便性改善など様々な効果があるとされ、研究が進められています。

Q11
チョコレート・ココアが医療現場で活用されていると聞きますが、具体的にどのように使われていますか?
A

主にココアについて、病院や介護現場で使用例が報告されています。その目的は大きく4つに分類することが出来ます。
(1)排便をコントロールする(便秘、難治性下痢、便臭の改善)。
(2)褥瘡(床ずれ)を改善する。
(3)ミネラル(主に銅)の不足による貧血を改善する。
(4)濃厚な流動食の風味を改善する。

Q12
チョコレート・ココアには「カフェイン」が含まれていると聞きますが、子供や妊婦が食べても大丈夫ですか?
A

チョコレート・ココアには、テオブロミンや少量のカフェインが含まれていますので、小児や妊婦は多量の摂取をできるだけ控えましょう。
ミルクチョコレート25 g に含まれるカフェイン量は、レギュラーコーヒー1杯に含まれるカフェイン量に比較すると約1/10です。

Q13
チョコレートを食べると「ニキビ」ができると聞きますが、本当ですか?
A

ニキビは、皮脂腺からでたアブラが毛穴につまってしまい、そこに細菌が繁殖するためにできるもので、ホルモンのバランスがくずれやすい思春期、体調の悪いとき、皮膚を清潔に保っていないときなどに見られます。
1960年代後半に行われた米国の研究[1]では、「チョコレートをたくさん食べることとニキビが発生することは、直接の関係はない」と報告されています。
近年、ニキビの免疫学的な研究もされ始めましたが、チョコレート摂取とニキビの関連性を明らかにするには、さらなる研究が必要だと思われます。

Q14
チョコレートを食べると「鼻血」がでると聞きますが、本当ですか?
A

医学的には、チョコレートと鼻血について関係があるという報告はありません。
しかしチョコレートには、血行をよくする物質が含まれていますので、体質によっては鼻血の原因になる可能性は、完全には否定できません。栄養バランスの観点からも、食べ過ぎには注意しましょう。

Q15
チョコレートを食べると「むし歯」になりますか?
A

第2次世界大戦後、スウェーデンで行われたヒト試験で、間食にチョコレートを与えた場合、キャンディーやトフィーと比較してむし歯(う蝕)の発生が少なかったことが報告されています。そこからチョコレート・ココアにはむし歯菌を抑制する効果を示す成分が含まれていることが予測され、原料であるカカオの成分のむし歯の原因菌の増殖に対する作用や、マウス動物試験でむし歯の発生を抑制する効果が研究されてきました。近年になり、むし歯と並ぶ口腔内の2大感染症疾患の1つである歯周病の主な原因である、歯周病原菌に対して殺菌効果のある成分が、カカオに含まれていることも報告されています。
このようにチョコレートやココアにはむし歯や歯周病に罹りにくい成分が含まれていますが、食べた後には歯磨きを行いましょう。

Q16
チョコレート・ココアを食べると太りますか?
A

肥満は摂取したエネルギーが運動などで消費されるエネルギーを上回ることにより生じます。チョコレートが特に肥満に関係するものではなく、むしろチョコレートの脂肪は吸収されにくいのでカロリーの計算値より低いとの報告もあります。
チョコレートの成分であるカカオマスには、肥満すなわち脂肪蓄積を抑える効果が報告されていますから、チョコレートは、同量の油脂を含む他の食品に比べると太りにくいと考えられます。ダイエットのためには、運動と適度なカロリー摂取を心がけてください。

Q17
チョコレートとココアでは、カロリーの低い方はどちらですか?
A

チョコレートやココアのカロリーは、含まれる脂肪、砂糖、乳成分の量などによって決まります。一般的に、脂肪を多く含むチョコレートの方がカロリーは高くなります。100 g当たりのカロリーは、チョコレート550~600 kcalに対してココアパウダー(純ココア)は約360 kcalです。

Q18
チョコレートには「依存性」があると聞きますが、本当ですか?
A

一般的に嗜好品には「依存性」があります。人は砂糖や油脂を多く含む食品に常用癖を示す傾向がありますが、チョコレートは砂糖も油脂もどちらも含んでいますし、チョコレートの香りやテオブロミンは、脳に刺激を与え満足感、幸福感、リラックス感を与えてくれると言われています。
適度に摂れば健康にいいものが、過剰になると、逆に病気の原因になりかねませんので食べ過ぎには注意しましょう。

Q19
チョコレートアレルギーとカカオアレルギーは違いますか?
A

チョコレートアレルギーとカカオアレルギーは違います。チョコレートアレルギーはチョコレートを食べた時、アレルギー反応が出ることをいうのですが、チョコレートは、カカオマス、砂糖、ココアバター、大豆レシチン(ミルクチョコレートの場合は乳製品)で出来ており、更にナッツや小麦加工品が入るものもあります。チョコレートに含まれる大豆・乳・ナッツ・卵を含む小麦加工品のタンパク質がアレルゲンになっている場合があります。カカオアレルギーはカカオマスに基因するアレルギーですが、カカオマスに含まれる生理活性物質はたくさんありますが、今までのところアレルギーの原因になったという研究報告はありません。しかし、微量ですが、カカオマスに含まれているニッケルが、接触アレルギー(ニッケル)の悪化をもたらしたと報告されています。

Q20
チョコレート・ココアに「抗ストレス効果」はありますか?
A

チョコレート・ココアに抗ストレス効果があるか否かはチョコレートが好きな人にとり大きな関心事であり、チョコレート・ココア国際栄養シンポジウムでも研究報告がされてきました。ラットに対してストレスを与え、抗ストレス効果を調べた結果ではチョコレートやココアの主成分であるカカオマスの摂取は精神的ストレス反応を抑制し、改善すると報告されました。その後スイスで、人を対象にした試験が行われ、2014年にはカカオフラバノールをたくさん含むダークチョコレート(ハイカカオチョコレート)を食べることは、ストレスを軽減するのに役立つと報告されています。ストレスは我々の脳と深く関係しますが、脳と腸内微生物叢はお互いに情報を伝えあって、体の働きを調整しており、現在、脳と腸内微生物叢関連の研究が進められています。
このように、チョコレートにはカカオポリフェノールのストレスを低減する効果はありますが、チョコレートの食べ過ぎには十分注意が必要です。