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Q10 チョコレート・ココアの研究が日本をはじめ世界中で進んでいると聞きますが、これまでにどんなことがわかっていますか? 2 糖尿病 この項では、チョコレートやココアを摂取することにより、耐糖能やインシュリン抵抗性、インシュリン感受性を指標にした糖尿病の改善効果を中心に解説し、肥満や他の生活習慣病とのかかわりを調べた文献について紹介します。 代表的な介入研究
S. Almoosawi et al.(2010)
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S. Almoosawi et al.(2012)
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A. Rostami et al.(2015)
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D. D. Mellor et al.(2010)
[4]
K. Davison et al.(2008)
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D. D. Mellor et al.(2013)
[6]
A. Basu et al.(2015)
[7]
P. J. Curtis et al.(2012)
[8]
J. I Dower et al.(2015)
[9]
N. Parsaeyan et al.(2014)
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代表的な総説
ココア摂取におけるたくさんのランダマイズされたトライアルからのメタアナリシスで、ココアの摂取が内皮機能だけでなく、インスリン感受性を改善するが、血中脂質や血圧への効果についてのエビデンスは弱いと報告した。
食品に含まれるフラボノイドと2型糖尿病および心血管病の進展について、最近の研究状況をレビューし、コホート研究とランダマイズドトライアルからのエビデンスは、心臓血管の健康へのアントシアニジン(ベリー)とフラバン-3-オール(緑茶やココア)などの食品が有益な効果を示唆しているとした。Hooperと同様、これらのことは、長期のランダマイズされたトライアルで確かめることが必要であるし、純品の化合物による評価が重要であると述べている。
内皮は動脈の恒常性においてきわめて重要な役割をする。そして、インスリン抵抗性はいろいろな前糖尿・糖尿病の状態において最も重要な病態生理学の特徴である。内皮機能不全により減少したNOの生物学的利用能は、アテローム性動脈硬化症の発生のもっとも初期の段階と考えられる。更にインスリン抵抗性は少なくとも部分的に、内皮機能不全を説明することができる。内皮機能不全は、心血管リスクや心血管障害の将来の進展に対する重要で独立した予兆であると考えられる。カカオ由来のココアやフラボノイドは、心血管保護においてこれらのメカニズムをプラスに調整すると考えられる。
メタボリックシンドロームは心血管疾患や糖尿病に対するリスクを増加させる複雑な臨床症状である。内蔵肥満とインシュリン抵抗性はメタボリックシンドロームにおける心血管の負の状態を決定する主な因子と考えられている。この総説では、インシュリン抵抗性や内皮および微小心血管の障害をもたらす慢性的な程度の低い炎症状態の進展に対する肥満が持つ主な役割について解説する。炎症状態の発端は過食やメタボリック細胞(脂肪細胞、肝細胞、あるいは筋細胞)における炎症誘発状態の始まりであり、また、それに続いて生じる炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6、アディポネクチン、その他)の増加による免疫細胞が誘導され、それによって全身の炎症状態がもたらされると考えられる。肥満によりひきおこされた炎症プロセスは、高血圧、アテローム性動脈硬化、脂質異常代謝、インスイン抵抗性やメタボリックシンドロームを特徴づける糖尿病のような複雑な事態をもたらすが、糖尿病や心循環器疾患の病因における脂肪組織の役割をフォーカスするためには他の研究が必要である。
肥満および肥満に関連する代謝疾患は、世界中で最も増えている疾患であり、摂取する栄養が関連している。肥満の特徴は白色脂肪組織から始まり全身性に至る慢性的な炎症と関係している。耐糖能や炎症の改善にはポリフェノールリッチなココアまたはココア由来製品の摂取が一つの方法として考えられる。ココアポリフェノールは抗酸化能や抗炎症効果を有することがin vitro および in vivo 研究で報告されている。ココアに含まれるポリフェノールは、代謝に関する遺伝子の誘導やエネルギー代謝に重要な多くの遺伝子の発現を制御する転写因子を活性化することにより脂肪代謝を調節すると報告されている。最近になり、ココアポリフェノールが肥満関連疾患に対して有する効果を説明できる可能性のあるいくつかの標的分子(NF-κB、活性化protein-1、PPAR、LXR-α、アディポネクチン遺伝子)が確認されている。ポリフェノールリッチなココア製品は、慢性的な炎症を抑制する多くのメカニズムによって肥満関連代謝疾患を減少させる可能性がある。
肥満は先進国おける健康上大きな問題であり、心臓疾患、高血圧、高脂血症および糖尿病の原因と捉えられている。肥満による炎症は耐糖能や心臓疾患に対して影響を及ぼす。ポリフェノール(カテキン、トコフェロール、レスベラトロール、クルクミンおよびアントシアニジン)は脂肪組織の炎症を抑制すると考えられてきた。脂肪細胞の機能不全が肥満や肥満に関連する疾患の大きな原因であることは広く受けられている。この総説では、食品由来のポリフェノールが糖尿病患者のインシュリン感受性を増すと同時に、肥満および肥満に関連する炎症を予防する栄養学的な役割について記述している。
慢性的な炎症は動脈硬化や心血管系疾患に至る重要なステップであり、ある種のがんの発生や進展に関連あるステップと捉えられている。多くの研究から得られたデータは、ココアそしてココア由来のフラバノールが炎症プロセスを効果的に変化させ、そのことによって動脈硬化・心血管系疾患およびがんに対するリスク要素を減少させる可能性を示唆している。この総説では、細胞培養、動物及び人を対象にした研究において、ある特定のバイオマーカーや炎症プロセスに対するココア、ココア成分およびココア派生物の最新の研究成果にフォーカスして記述する。 代表的な動物実験
カカオポリフェノール抽出物は、3T3-L1前駆脂肪細胞において、インスリンレセプターキナーゼ活性や、ERKおよびAktのような増殖性の下流のシグナリングマーカーを阻害し、高脂肪食で飼育したマウスにおける肥満の進展を妨げる。
ココアポリフェノールは脂肪組織への脂肪蓄積を抑制するために補助的に使用することが可能かもしれない。しかしこの分子的メカニズムはまだ明らかではない。この論文は、ココアポリフェノールが腸間膜白色脂肪組織における脂肪代謝に関わる遺伝子発現に影響を与えるとの仮説について研究に関するものである。高脂肪食または低脂肪食でSDラットを12週間飼育し、その後、高脂肪食群のラットをココアポリフェノールを添加した餌で4週間飼育した。その結果、ココアポリフェノールを投与したラットは、脂肪合成に関する遺伝子の発現が減少したのに対し、脂肪分解に関するmRNAは増加していた。
高脂肪食で飼育された肥満マウスにおいて、肥満に関連する炎症に対するココアの抑制効果について研究を行った。ココアの投与は、白色脂肪組織における前炎症性遺伝子発現の下方制御により、肥満関連の炎症、インスリン抵抗性および脂肪肝を改善する。これらの効果は、部分的には、食事由来の脂肪の吸収調整と白色脂肪組織でのマクロファージ侵入を阻害することによってもたらされるように見える。
糖尿病において、腎臓細胞外基質が蓄積する際にNOX4の高発現とそれにリンクしたAMPKの不活化およびTGFβ-1のシグナリングが関与するメカニズムについて研究し、更に、ココアがこれらに対してどのような効果を有するかを研究した。ココアによってもたらされるAMPKの増加は、NOX4/TGFBeta-1シグナリングを減らすことにより糖尿病性腎症に対し治療効果がある可能性が示された。 引用文献 [1] S. Almoosawi et al. Br J Nutr. 2010, 103(6): 842-50 The effect of polyphenol-rich dark chocolate on fasting capillary whole blood glucose, total cholesterol, blood pressure and glucocorticoids in healthy overweight and obese subjects. [2] S. Almoosawi et al. Food Funct. 2012, 3(10): 1035-43 Differential effect of polyphenol-rich dark chocolate on biomarkers of glucose metabolism and cardiovascular risk factors in healthy, overweight and obese subjects: a randomized clinical trial. [3] A. Rostami et al. ARYA Atheroscler. 2015, 11(1): 21-29 High-cocoa polyphenol-rich chocolate improves blood pressure in patients with diabetes and hypertension. [4] D. D. Mellor et al. Diabetic Medicine. 2010, 27:1 318-1321 High-cocoa polyphenol-rich chocolate improves HDL cholesterol in Type 2 diabetes patients. [5] K. Davison et al. Int j Obes(Lond). 2008, 32(8): 1289-196 Effect of cocoa flavanols and exercise on cardiometabolic risk factors in overweight and obese subjects. [6] D. D. Mellor et al. Diabetic Medicine. 2013, 30(4): 478-483 High-Polyphenol Chocolate Reduces Endothelial Dysfunction and Oxidative Stress During Acute Transient Hyperglycaemia in Type 2 Diabetes: A Pilot Randomized Controlled Trial [7] A. Basu et al. J Nutr. 2015, 145(10): 2325-32 Acute Cocoa Supplementation Increases Postprandial HDL Cholesterol and Insulin in Obese Adults with Type 2 Diabetes after Consumption of a High-Fat Breakfast. [8] P. J. Curtis et al. Diabetes Care. 2012, 35(2): 226-232 Chronic Ingestion of Flavan-3-Ols and Isoflavones Improves Insulin Sensitivity and Lipoprotein Status and Attenuates Estimated 10-Year CVD Risk in Medicated Postmenopausal Women with Type 2 Diabetes [9] J. I. Dower et al. Am J Clin Nutr. 2015, 101(5): 914-921 Effects of the pure flavonoids epicatechin and quercetin on vascular function and cardiometabolic health: a randomized, double-blind, placebo-controlled, crossover trial. [10] N. Parsaeyan et al. J Diabetes Metab Disord. 2014, 13(1): 30 Beneficial effects of cocoa on lipid peroxidation and inflammatory markers in type 2 diabetic patients and investigation of probable interactions of cocoa active ingredients with prostaglandin synthase-2 (PTGS-2/COX-2) using virtual analysis. [11] L. Hooper et al. Am J Clin Nutr. 2008, 88(1): 38-50 Flavonoids, flavonoid-rich foods, and cardiovascular risk: a meta-analysis of randomized controlled trials [12] Rob M van Dam et al. Nutrition and Metabolism. 2013, 24(1): 25-33 Dietary flavonoids and the development of type 2 diabetes and cardiovascular diseases: review of recent findings [13] D. Grassi et al. Curr Opin Clin Nutr. Metab Care. 2013, 16(6): 662-8 Protective effects of dark chocolate on endothelial function and diabetes. [14] F. Emanuela et al. J Nutr. Metab. 2012, 2012: 476380 Inflammation as a Link between Obesity and Metabolic Syndrome. [15] F. Ali et al. Mol.Nutr. Food Res. 2014, 58(1): 33-48 Molecular mechanisms underlying the potential antiobesity-related diseases effect of cocoa polyphenols. [16] L. Tucakovic et al. Food and Public Health. 2015, 5(3): 84-91 Relationship between Common Dietary Polyphenols and Obesity-Induced Inflammation [17] L. Goya et al. Nutrients. 2016, 8(4): 212 Effect of Cocoa and Its Flavonoids on Biomarkers of Inflammation: Studies of Cell Culture, Animals and Humans [18] S. Y. Min et al. International Journal of Obesity(Lond). 2013, 37(4): 584-592 Cocoa polyphenols suppress adipogenesis in vitro and obesity in vivo by targeting insulin receptor. [19] F. Ali et al. Genomics. 2015, 105(1): 23-30 Transcriptomics expression analysis to unveil the molecular mechanisms underlying the cocoa polyphenol treatment in diet-induced obesity rats [20] Y. Gu et al. Eur J Nutr. 2014, 53(1): 149-158 Dietary cocoa ameliorates obesity-related inflammation in high fat-fed mice. [21] A. Papadimitriou et al. J Nutri. Biochem. 2014, 25(7): 773-784 Increase in AMPK brought about by cocoa is renoprotective in experimental diabetes mellitus by reducing NOX4/TGFβ-1 signaling. |
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