Q10 チョコレート・ココアの研究が日本をはじめ世界中で進んでいると聞きますが、これまでにどんなことがわかっていますか?
6 免疫システム(Immune System)
免疫システムとは、病原体といった非自己物質やがん細胞といった異常細胞を認識し、排除するシステムです。カカオの免疫システムへの働きとして、抗炎症作用の研究が多く報告されています。
概説
- FJ. Pérez-Cano et al. (2013)[1]
これまでのカカオの抗炎症作用に関する研究から、カカオのin vitroでの抗炎症作用は明らかであるが、in vivoの研究では効果ははっきりしていない。現在の状況では、軽度の炎症に対して、高ポリフェノール量のカカオが、炎症応答を解消する手助けをすると結論付けられるだろう。またカカオは抗酸化作用を持つので、抗炎症治療を補助する作用があるだろう。カカオの摂取は、特定の炎症過程に有益である可能性がある。カカオ中の成分が、このような抗炎症作用を持つことを証明するには、さらなる研究が必要である。
チョコレート・ココア国際栄養シンポジウムでの関連発表
- 坂根 剛「カカオマス抗酸化物質による免疫調節作用」
:第1回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(1995) - 坂根 剛「慢性炎症、アレルギー炎症に対するカカオマス抗酸化物質(CMP)の抑制作用」
:第2回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(1996) - 坂根 剛「カカオマス抗酸化物質(CMP)の抗炎症、免疫抑制作用に関する検討」
:第3回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(1997) - 村上 明「ポリフェノールの抗炎症作用について~カカオ抽出物の大腸炎抑制作用~」
:第14回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(2009) - 鈴木 登「チョコレート摂取のヒト免疫能に対する影響」
:第4回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(1998) - 菅原卓也「カカオ抽出物の免疫機能に及ぼす効果」
:第21回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(2016)
引用文献
- [1]FJ. Pérez-Cano et al. Front. Pharmacol. 2013, 4: 71.
The effects of cocoa on the immune system