Q10 チョコレート・ココアの研究が日本をはじめ世界中で進んでいると聞きますが、これまでにどんなことがわかっていますか？
3 ミトコンドリア機能（ Mitochondril Function ）
ミトコンドリアは細胞内の様々な活動に必要なATPを産生しています。これまでの研究により、カカオ（特にエピカテキン）には、心不全と2型糖尿病の患者に見られる筋肉の構造と機能の欠損を、改善する効果があることが示唆されています。
代表的な介入研究
PR. Taub et al.（2012）[1]
引用文献
- [1]PR. Taub et al. Clinical and Translational Science. 2012, 5(1): 43-47
Alterations in Skeletal Muscle Indicators of Mitochondrial Structure and Biogenesis in Patients with Type 2 Diabetes and Heart Failure: Effects of Epicatechin Rich Cocoa
| 項 目 | 詳 細 |
|---|---|
| 被験者 | 被験者数：2型糖尿病とステージII/IIIの心不全の罹患者5名（47～71歳） |
| 試験デザイン | オープン前後比較試験 |
| 試験食品 | ダークチョコレート4片とカカオ飲料2杯 |
| 含 量 | エピカテキン100 mg/日 |
| 摂取期間 | 3ヵ月 |
| 結 果 | 摂取前後の比較 HDLコレステロール↑ 脳性ナトリウム利尿ペプチド↓（P = 0.06 ） LDL, コレステロール、中性脂肪、HbA1c 血圧、体重 → nNOS, p-NOS, cGMP, PGC-1α, Tfam, Mitofrin, Porin Complex 1 OXPHOS, Complex V OXPHOS, Cristae Perimeter, Mitochondrial Volume（骨格筋中）↑ エピカテキンを含むカカオ製品を摂取することで、骨格筋中のミトコンドリアに関する機能が改善することが各種バイオマーカーにより認められました。 |
PR. Taub et al.（2013）[2]
引用文献
- [2]PR. Taub et al. Clinical Science. 2013, 125(8): 383-389
Perturbations in skeletal muscle sarcomere structure in patients with heart failure and Type 2 diabetes: restorative effects of (-)-epicatechinrich cocoa
| 項 目 | 詳 細 |
|---|---|
| 被験者 | 被験者数：2型糖尿病とステージII/IIIの心不全の男性罹患者5名（47～71歳） 対照：健常者3名（50～53歳） |
| 試験デザイン | オープン前後比較試験 |
| 試験食品 | 60 %ダークチョコレートとカカオ飲料 |
| 含 量 | エピカテキン100 mg/日 |
| 摂取期間 | 3ヵ月 |
| 結 果 | 最大酸素消費量は摂取前後で24 %上昇（有意差なし）。 試験食摂取により、骨格筋の増殖/分化マーカーへの誘導が回復/増強しました。 |
Ramirez-Sanchez et al.（2013）[3]
引用文献
- [3]I. Ramirez-Sanchez et al. Int J Cardiol. 2013, 168(4): 3982-3990
(-)-Epicatechin rich cocoa mediated modulation of oxidative stress regulators in skeletal muscle of heart failure and type 2 diabetes patients
| 項 目 | 詳 細 |
|---|---|
| 被験者 | 被験者数：2型糖尿病とステージII/IIIの心不全の罹患者5名（47～71歳） 対照：健常者3名 |
| 試験デザイン | オープン前後比較試験 |
| 試験食品 | 60 %ダークチョコレートとカカオ飲料 |
| 含 量 | エピカテキン100 mg/日 |
| 摂取期間 | 3ヵ月 |
| 結 果 | 試験食摂取により、グルタチオン濃度が回復し、タンパク質のニトロチロシル化およびカルボニル化が減少しました。 エピカテキンを豊富に含むカカオの摂取により、主要な転写因子が核に移行し、SOD2やカタラーゼタンパク質の発現や活性が増加しました。 |
代表的な動物実験
- L. Nogueira et al.（2011）[4]
エピカテキンをマウスに15日間経口投与した。その結果、エピカテキンが運動能力を改善し、後足筋肉の毛細血管を増加させ、筋肉中のミトコンドリア数を増加させると同時にミトコンドリア生合成のシグナル増加を認めた。これらのことから、エピカテキンは筋肉の好気的代謝能を亢進し、筋肉疲労を遅らせることが示唆された。
チョコレート・ココア国際栄養シンポジウムでの関連発表
- フランシスコ・ヴィラリール「カカオフラバノールが骨格筋・心筋の構造と機能に与える有益な効果」
第19回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム（2014）
引用文献
- [1]PR. Taub et al. Clinical and Translational Science. 2012, 5(1): 43-47
Alterations in Skeletal Muscle Indicators of Mitochondrial Structure and Biogenesis in Patients with Type 2 Diabetes and Heart Failure: Effects of Epicatechin Rich Cocoa - [2]PR. Taub et al. Clinical Science. 2013, 125(8): 383-389
Perturbations in skeletal muscle sarcomere structure in patients with heart failure and Type 2 diabetes: restorative effects of (-)-epicatechinrich cocoa - [3]I. Ramirez-Sanchez et al. Int J Cardiol. 2013, 168(4): 3982-3990
(-)-Epicatechin rich cocoa mediated modulation of oxidative stress regulators in skeletal muscle of heart failure and type 2 diabetes patients - [4]L. Nogueira et al. J Physiol. 2011, 15,589(Pt18): 4615-4631
(-)-Epicatechin enhances fatigue resistance and oxidative capacity in mouse muscle.