日本チョコレート・ココア協会
English サイトマップ
チョコレート・ココアの健康パワー基礎講座チョコレート・ココア大辞典規約・統計チョコレート国際栄養シンポジウム協会について
Top > チョコレート・ココア健康講座 > Q2 チョコレート・ココアにはどのような成分が含まれていますか?

チョコレート・ココア健康講座

Q2

チョコレート・ココアにはどのような成分が含まれていますか?

A

タンパク質、脂質、糖質、食物繊維、ミネラル類、カカオポリフェノール、テオブロミンが含まれています。

チョコレート・ココアなどの加工品は、剥皮したカカオ豆を焙炒してすり潰した「カカオマス」全体を使っていますので、お茶やコーヒーなどのような抽出液を飲むものと違って、多量のポリフェノール[1][2]や食物繊維、ミネラルが含まれています。チョコレート・ココアに含まれるポリフェノール、脂質とテオブロミンなどのメチルキサンチン*1)については後述します。
カカオポリフェノールの健康効果には、メチルキサンチン類・食物繊維・ミネラルなどとポリフェノールの相互作用もあると思われますが、ここではカカオの食物繊維とミネラルそれぞれの健康効果について述べます。

食物繊維

食物繊維は、人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体で、不溶性のものと水溶性のものがあります。不溶性食物繊維の生理作用は、量増し効果により便量を増加し[3][4]、便秘の予防と解消、あるいは結腸ガンの予防効果があるとされています。一方、水溶性食物繊維は高血糖[5]、脂質異常症*2)[6]、高血圧[7]などの代謝性の異常を防ぐ効果が強いとされています。カカオの産地や収穫時期によっても異なりますが、カカオマス(ガーナ2005年産)には17 g/100 g[4]、ココアには約24 g/100 g[8]の食物繊維が含まれていると報告されています。カカオマスに含まれる食物繊維は、不溶性のものがほとんどで、水溶性食物繊維は約5 %しか含まれません[4]。内訳を細かくみると、リグニン55 %、ヘミセルロー23 %、セルロース16 %、水溶性難消化性多糖類6 %[4]となっており、カカオマスに含まれる食物繊維の半分以上はリグニンとなっています。リグニンは不溶性食物繊維で人間の消化酵素や腸内細菌に分解されにくいので、体内に吸収されず、便性を改善して糞中に排泄されます[9]。また最近、ココア摂取による便通、便臭の改善が報告され、ココアに含まれる不溶性食物繊維、特にリグニンによる効果と考察されています[10]。木材リグニンでは、コレステロール低下作用、便秘予防、抗腫瘍作用などが報告されています。カカオリグニンの研究では、高血圧自然発症ラットにカカオリグニンを与えた結果、血圧の顕著な低下作用と血清総コレステロール低下作用が観察されたことが報告されています[11]。Beatrizら(2012)は、非澱粉性多糖類を含むココア製品の継続摂取により便通が改善することをヒトで確認しています[12]。またチョコレート・ココア国際栄養シンポジウムでは、中村(1999)(2000)がココアから抽出した水溶性食物繊維についてラットにおける血清中脂質の改善効果及びストレスによる胃潰瘍抑制効果、坂上(2007)、(2010)がカカオリグニン配糖体画分について抗ウイルス活性、抗インフルエンザ活性、ラジカル消去活性及び免疫細胞活性化作用、田沼(2015)がカカオリグニン配糖体画分についてがん細胞に対するアポトーシス誘導作用*3)があることを報告しています。

ミネラル

日本人の食事摂取基準[13]では、生命維持に欠かせない13種類の必須ミネラルのうち、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、リン(P)の5種を多量ミネラル(1日に必要とされる摂取量が100 mg以上)、更に、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、ヨウ素(I)、セレニウム(Se)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)の8種を微量ミネラル(1日に必要とされる摂取量が100 mg未満)としています。カカオマスはK、P、Cu、Fe、Zn、Mg、Ca、Mnのようなミネラルを豊富に含有し、チョコレートの健康的な利点をより強くすると同時に、体の恒常性*4)を維持し、適切に機能するために必要なミネラル供給源となります。カカオマス(ガーナ2005年産)の実測値を示しており、すべてカカオマス100 g当たりの含有量です。
一般的に種実類を多量に摂取するとミネラルの吸収を阻害するといわれていますが、1997年のチョコレート・ココア国際栄養シンポジウムにおいて鈴木は、食物繊維の多いカカオマスと、少ないアーモンドやピーナッツについてラットによるミネラル生体内利用を検討したところ、他の種実類と比較しても、比較的良いことが判明したと報告しています。

カリウム(925 mg/100 g)開く

カカオ豆にはマグネシウムと共に多く含まれますが、多量ミネラルの電解質と考えられています。体内におけるカリウムとナトリウムのバランスを維持することが重要であり、カリウムはナトリウムの排出を促し、塩分の過剰摂取で生じる高血圧や脳卒中を予防します。また、腎臓の老廃物の排泄を促したり、血圧を正常に保つ作用があります。健康な人において、下痢、多量の発汗、利尿剤の服用の場合以外はカリウム欠乏を起こすことはまずありません。医師からカリウム摂取を制限されている腎不全の方は医師に相談してください。

マグネシウム(315 mg/100 g)開く

マグネシウムは人体における骨格、筋肉組織、体液において、主要な多量ミネラルです。マグネシウムは、エネルギーの生産、タンパクの形成、細胞の複製を助け、血圧を下げそして心臓の機能を改善します。カカオは、マグネシウムの最上の食品供給源の一つであると考えられています。マグネシウムが欠乏すると、骨粗鬆症、心疾患、糖尿病のような生活習慣病のリスクを上昇させることが示唆されています(食事中のカルシウム/マグネシウムの比率が高い国ほど、心疾患による死亡率が高いという有名な報告がある)が、更なる科学的根拠の蓄積が必要です。カカオハスクから抽出したMgの生体利用については、2000年のチョコレート・ココア国際栄養シンポジウムにおいて、鈴木の報告があります。

カルシウム(83 mg/100 g)開く

多量ミネラルで骨や歯を作り、エネルギー代謝に重要です。カルシウム欠乏は骨粗しょう症、高血圧、動脈硬化などを招くことがあると言われています。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進します。カカオマスはマグネシウムが多いので、ミルクチョコなどでは牛乳由来のカルシウムと一緒になりマグネシウムとのバランスがよくなることが知られています。(Ca : Mg = 2 : 1が良いと言われています。)

リン(407 mg/100 g)開く

カルシウムと共に、骨格を形成するだけでなく、ATP*5)の形成、その他の核酸や細胞膜リン脂質の合成、細胞内リン酸化を必要とするエネルギー代謝などに必須の多量ミネラルです。カカオマスにはリンが多く含まれています。

ナトリウム(0.4 mg/100 g)開く

多量ミネラルで神経の刺激伝達作用や細胞の浸透圧を維持する作用があります。ナトリウムを必要ですが、体を効率よく動かすためにはナトリウムとカリウムのバランスを維持することが必須です。(Na : K = 0.6 : 1 が良いと言われています。)通常の食事をしていれば、ナトリウムが不足することはありません。カカオマスにはナトリウムはほとんど含まれていません。

鉄(7.1 mg/100 g)開く

鉄は微量ミネラルで、代謝、生長、治癒回復、免疫系の機能、DNA*6)合成などに関与しています。生体内の鉄の約70 %は赤血球の形で存在し、酸素の運搬や細胞呼吸、エネルギー代謝に重要な役割を担います。その欠乏は貧血や運動機能、認知機能などの低下を招きます。カカオマスには鉄が多く含まれています。

亜鉛(4.6 mg/100 g)開く

亜鉛は微量ミネラルで、免疫系、肝臓、膵臓および、皮膚において重要な役割を担っています。更に、人間の体全体を通して無数の酵素反応に関与しています。味覚・嗅覚を正常に保ちます。カカオマスには亜鉛が多く含まれています。

銅(2.6 mg/100 g)開く

銅は微量ミネラルで、エネルギー生産や鉄の代謝を助け、結合組織を作るのを助けます。又、神経系や脳機能に影響します。銅欠乏は貧血や高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症*7)、リポたんぱく質*8)の酸化を惹起することが報告されています。
なお、Q11.で詳しく報告しますが、銅不足に伴う貧血等の治療目的でココアの使用例が多く報告されています。カカオマスには銅が多く含まれています。

チョコレート・ココア国際栄養シンポジウムでの関連発表

食物繊維

  • 辻 啓介「カカオの食物繊維の機能」:第2回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(1996)
  • 水谷武夫「カカオ豆外皮由来物質の腸内菌叢改善効果」:第4回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(1998)
  • 中村尚夫「ココア処理素材のラットへの生理効果」:第5回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(1999)
  • 中村尚夫「ココア食物繊維の胃環境への影響」:第6回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(2000)
  • 坂上 宏「カカオリグニン成分の生理活性評価に関する研究」:第12回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(2007)
  • 坂上 宏「カカオ豆由来リグニン配糖体の新たな活性を求めて」:第15回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(2010)
  • 田沼靖一「カカオリグニン配糖体のアポトーシス誘導作用」:第20回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(2015)

ミネラル

  • 鈴木和春「カカオを利用したミネラルの吸収促進」:第3回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(1997)
  • 鈴木和春「カカオハスク抽出物中のMg生体利用について」:第6回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム(2000)

引用文献

[1] ポリフェノール含有食品の商品テスト結果(国民生活センター:2000年5月8日)

[2] KW. Lee et al. J Agric Food Chem. 2003, 51:7292-7295

Cocoa Has More Phenolic Phytochemicals and a Higher Antioxidant Capacity than Teas and Red Wine

[3] JH. Cummings et al. Lancet. 1978, Jan. 7:1(8054): 5-9.

Colonic response to dietary fibre from carrot, cabbage, apple, bran, and guargum

[4] カカオマスの成分(日本チョコレート・ココア協会)

[5] EQ. Ye et al. J Nutr. 2012, Jul. 142(7): 1304-13.

Greater whole-grain intake is associated with lower risk of type 2 diabetes, cardiovascular disease, and weight gain.

[6] L. Brown et al. Am J Clin Nutr. 1999, Jan. 69(1): 30-42.

Cholesterol-lowering effects of dietary fiber: a meta-analysis.

[7] SP. Whelton et al. J Hypertens. 2005, Mar. 23(3): 475-81.

Effect of dietary fiber intake on blood pressure: a meta-analysis of randomized, controlled clinical trials.

[8] 日本食品標準成分表2015年版(七訂)

[9] L. Hillman et al. Br J Nutr. 1983, Sep. 50(2): 189-95.

Differing effects of pectin, cellulose and lignin on stool pH, transit time and weight.

[10] 杉山和久 他 薬理と治療 2017, 45(4): 653-662

カカオ由来リグニンによる便通および便臭改善の検証試験−無作為化二重盲検クロスオーバー試験−

[11] 上脇達也他 日本農芸化学会誌 1994, 68(5): 957-965

カカオリグニン摂取が高血圧自然発症ラットの血圧および血漿脂質に及ぼす影響

[12] S. Beatriz et al. Nutr. Metab. 2012, 9: 33

Effects of regularly consuming dietary fibre rich soluble cocoa products on bowel habits in healthy subjects: a free-living, two-stage, randomized, crossover, single-blind intervention

このページのトップへ
サイトポリシープライバシーポリシー
Copyright (c) chocolate & cocoa association of japan All right reserved.