栽培地域と品種

カカオ豆は地域によって様々な品種があります。
ここでは栽培されている土地や品種をご紹介します。

カカオ豆とは

カカオ豆はチョコレートやココアの主原料で、カカオの樹の果実の中にある種子のことです。

テオブロマ・カカオ(Theobroma Cacao)
カカオの学名は、あおぎり科 テオブロマ属 カカオ
Stercurliaceae Theobroma Cacao (Linnaeus)

1753年にスウェーデンの科学者カルル・フォン・リンネが属名と種名からなる二名法により命名した。

“テオブロマ”とは、《神様のたべもの》という意味で、メキシコ・アステカ族の神話に由来する属名で、“カカオ”は種名を示しています。
かつてカカオは王様や貴族あるいはお金持ちだけの貴重な食べものでした。

カカオの栽培地域

カカオは、赤道の南北緯度20度以内、年間平均気温27℃以上の、しかも年間を通じてその上下する範囲がごく狭い、高温・多湿な地方で栽培される熱帯植物です。

産地は、西アフリカ、東南アジア、中南米です。

カカオの樹

ガーナの農家にて

カカオの樹は常緑樹ですが年間を通じて落葉し、半日陰を好みます。直射日光にさらされて、蒸発が強くならないようにする必要があり、カカオの樹の周りにはシェードトリーといわれる覆いとなる樹を植えているのが多く見られます。 生長すると、高さは7~10メートル、幹の太さは10~20センチになります。

枝だけでなく、幹にも実のなるちょっと風変わりな樹です。

カカオの品種

カカオ豆の味は、産地、カカオの樹の種類、栽培する土地の土壌・気候などによって異なります。

チョコレートメーカーは製品ごとにカカオ豆を選択し、いくつかの豆をブレンドしてチョコレートの特徴を出すことが多いようです。

栽培カカオの系図は次の3種が源流といわれます。これらを基に、味覚・香味の良い、病害・虫害に強く、収量が多くそして収穫のし易い品種の研究が各産地で独自に進められており、多くの派生種があります。

クリオロ種(CRIOLLO)
中央アメリカ、メキシコ、西部ベネズエラに有史以前から生育していたもので、特に、メキシコ南部からニカラグアに多く産する。
病害虫に極めて弱く、栽培が非常に難しい種で、ほとんどが病害で死滅した。
豆の品質は良く、独特の香りを有しており、フレーバービーンズとして珍重される。
チョコレートのブレンド豆として貴重。
現在は、ベネズエラ、メキシコなどにごく少量生産されている。
ポッドの色は、成熟すると赤または黄色になり、豆は丸く、苦味がすくないのが特徴。
フォラステロ種(FORASTERO)
南アメリカのアマゾン渓谷、オリノコ渓谷等が原産地。
一般に成長早く、病害虫に対する耐性が強く、栽培は容易で、現在は世界の主流となっており、東南アジア、西アフリカなどで栽培。
ポッドの色は、緑から成熟すると黄色になり、豆は偏平型で苦味が強いのが特色。
主な品種に、ガーナ、コートジボワール、ナイジェリア、ブラジルがあり、これらはアマゾンフォラステロとよばれることがある。
派生種としては、花の香りに特色を持つエクアドル(アリバ)がある。
トリニタリオ種(TRINITARIO)
トリニダッド島で交配されたクリオロ種とフォラステロ種の性質を受継いだハイブリッド種。
栽培は容易で、良質な豆。
ベネズエラ、トリニダッドや他の中南米地域で栽培され、ブレンド豆として、不可欠。

カカオ豆の価格

1.産地の価格
農民からの買い上げ価格は、ガーナおよびカリブ海諸国を除き、国際相場の動向に連動しています。農民は少しでも高く買上げる業者に売ります。
2.国際相場
カカオ豆の価格は原則として商品先物市場における国際相場により形成されています。
カカオ豆の商品先物市場は、ロンドンとニューヨークに開設されており、毎日取引が行われています。
ロンドン市場はスターリングポンド(イギリス通貨)建てで、主として西アフリカ産のカカオ豆を取引し、ニューヨーク市場は米国ドル建てで、主として中南米産のカカオ豆を取引しています。
国際相場は産地の天候(降雨状況、気温など)、作柄、病・虫害、政治情勢、治安状況、集荷状況、世界のチョコレート・ココアの消費状況や投機資金の流入など様々な条件で毎日変動します。

カカオ豆の生産・消費に関係する国際機関

1.国連ココア会議
カカオ豆生産国におけるカカオ豆の生産育成、カカオ豆消費国におけるチョコレート・ココア製品の消費促進、カカオ豆の国際的需給の均衡、カカオ豆輸出国の経済発展の支援等を討議する会議です。この会議においてココア協定と呼ばれる商品協定が政府間協定として締結されます。
2.国際ココア機関:INTERNATIONAL COCOA ORGANIZATION(ICCO)
国連ココア会議に基づき成立したココア協定の実施機関
本部:英国ロンドン市
日本チョコレート・ココア協会は、協力会員として参加しています。